路地裏

あらゆるどうでもいいことを書きます。

友達

 一人でアルコールを吞む時は、たいてい眠れない時。あと昼間から吞む優越感に浸りたい時、身体のスケジュールを早起きのためにぶっ壊したい時。ゲームしながらもっと自堕落を満喫したい時にはアルコールを決めつつ動画サイトも垂れ流す。書いといてあれだがアルコールなんて一人で吞むもんじゃないと思う。ビール美味くないもん。

 

 友達がいっぱいいるわけではないが、結構いる。それっぽく言うなら、両腕で収まる範囲?ぐらい。その中のたぶんおそらく一番の友達について話そうと思う。

 

 一番かなあ。年下の中では一番だと思う。きっと向こうもそう思ってる。だって二人で映画に行くのはソイツとだけだし、それがクソ映画でも気まずくならないのもソイツだからだろう。べつに音楽の趣味も実はあまり合ってないし、本もそうだし、遊びもたぶんそうだ。食い物もそうかもね。ホント言うとたいしてソイツの事知らないんじゃないか?とも思う。過去の恋愛とかも知らねーし。

 でもなーんか居心地がいい。たとえばソイツが遅刻する。俺は短気だから次会った時半殺しぐらいはいいだろうと思う。でも次の約束をする。

 そいつが急に俺の家の近くの公園で吞もうと言い出す。俺は面倒くさがりなので渋る。でも公園で軽く飲み交わす。

 バッティングセンターに行く。俺は右打ちなのに左打席しか空いて無くて、ろくに打てない。でもまあソイツとなら楽しい。

 そいつが彼女の話をする。どうでもいいけど、止めるほど嫌じゃない。

 

 友達の定義とか言い出す奴が嫌い。無いもんそんなの。でも俺とソイツは友達なのだ。俺が友達いっぱいなのは、ソイツが友達になったからだ。

 バカみたいに喋るのは、話題を厳選してないから。面白い事なんて言わなくていい。勝手に出てくる。

 たとえば食ってるメシがまずかったら、すぐ言える。見てる映画がつまらなければ、すぐバカに出来る。カラオケで盛り上がりとか気にせず歌いたい歌を歌う。女の子の前では言えない「やってみたいこと」を提案する。

 

 楽しいのだ。でも遅刻はするな。お前は友達だ。調子には乗るな。お前はいいやつだ。でも反省しろ。

 

 そいつが結婚とかするなら、俺が祝ってやろうと思う。

セリエAのスクデット争いを展望する

 今季もっとも優勝争いが面白いリーグはどこだろう。バルサとレアルの2強がいずれも問題を抱えるリーガか、野戦病院と化しながら勝ち続けるリバプールモウリーニョの下で戦う集団となったトッテナムがデッドヒートを繰り広げるプレミアか。あるいはパリが(首位とはいえ)ふがいないリーグ・アンバイエルンが昨季ほど無双状態ではないブンデスリーガも面白いかもしれない。

 

 しかし個人的には、セリエAだと思う。プレミア以上に戦力が拮抗している印象で、なによりも現在9連覇中の絶対王者ユベントスにそこまでの勢いが感じられない。

 知っての通り、ユーべはCLの敗退でサッリ監督を解任。U-23監督として経験を積ませるつもりだったピルロを内部昇格させ、いきなりトップチームの指揮を任せている。そのピルロはここまで3位とまずまずの結果を出しているが、やはり戦力を考えると物足りなさはある。ということで、現在6位までのミランインテル、ユーべ、ローマ、ナポリサッスオーロの優勝の可能性を見ていきたい。

 

 ミランの大躍進は、2020下半期のヨーロッパサッカー界でも最大級のトピックだ。昨シーズン途中までは混迷のただ中にあり、全権監督としてラルフ・ラングニックを招聘すると言われていたクラブは、冬のマーケットでイブラヒモビッチを獲得。するとこの大ベテランはチームに活力を与え、またピオーリ監督の卓越した手腕もあって連勝でシーズン終了。これを評価したクラブはピオーリ&イブラの契約を延長し、ラングニック招聘を見送った。

 そして迎えた今シーズン、チームは前述の通り大躍進。12試合を終え8勝4分無敗と、圧巻の成績を残している。

 個人に目を向けると、やはりチームの絶対的な柱はイブラヒモビッチ。39歳という年齢もあってフル稼働とはいかないが、出場すればフィジカルとテクニックを武器に絶大な存在感を放つ。このペースならセリエAでも20ゴール超えが期待できそうで、さらにその貢献はゴールだけでなく、ポストプレーやラストパスといったチャンスメーク力も高い。現時点ではセリエAのベストプレーヤーと評して構わないだろう。

 そして中盤で多大な貢献を果たすのがケシエ。圧倒的なフィジカルを武器とする逸材がついに本格開花し、ボール奪取から持ち上がりまでしっかりとこなす中盤の番人と化した。トップ下のチャルハノールや同じダブルボランチのべナセルを含め、創造性に欠けるのは否めないが、イブラを基準点とした4-2-3-1がしっかり機能しているため、大きな問題ではないだろう。また逸材トナーリもようやく新天地に慣れ、本領を発揮すれば新たな戦術も目指せるはずだ。

 最終ラインも安定している。20代前半にも関わらずすでに重鎮と言える守護神ドンナルンマを中心に、ベテランのケア、中堅のロマニョーリが固めるCBは盤石そのもの。失点は13と少なくはないが、守備陣に大きな穴があるわけではない。両SBにしても、攻撃力を武器とするテオ、逆サイドでは攻守に奔走するカラブリアが予想以上の働きを見せており充実している。

 

 問題があるとすればイブラの離脱だろう。つい先ほどもイブラのさらなる負傷が発表され、復帰は年明けまでずれ込むことになった。ここまではイブラの欠場した試合もしっかり勝つなど、ポテンシャルはあるだけに、取りこぼしなく走り切れるかは大きな注目だ。

 

 現在2位。宿敵ミランとの勝ち点差は1と、しっかり優勝争いに絡むインテルだが、チャンピオンズリーグは屈辱のグループリーグ敗退を喫するなど、盤石の足取りではない。とはいえ国内では最多30ゴールをたたき込むなど圧巻の強さを誇り、ここまで負けはミラノ・ダービーの接戦のみ。コンテが創り上げた闘争心に溢れる戦う集団は、ここまでしっかりと結果を残している。

 

 チームの絶対的なエースが、ベルギーの大砲ルカク。ここまで11試合に出場して10ゴールと、昨季に続いてエースの役割を全うしている。スピードとパワーを備えた大型ストライカーであり、エリア内に仕事場が限定されていた前エースのイカルディよりも柔軟なプレーが可能。コンビを組むラウタロ・マルティネスとの連携もばっちりで、チームにおける重要度はますます上がっている。

 

 中盤では、新戦力のハキミが最大の発見だ。昨シーズン、ドルトムントで覚醒したウイングバックは、イタリアでも存分にその攻撃力を発揮。右WBのポジションを不動のものとし、チームの攻撃に厚みを加えている。また左WBには、レンタルバックのペリシッチと昨シーズンのレギュラーであるヤングがハイレベルなポジション争いを見せ、両サイドをこなすダルミアンがバックアッパーとして控える。現陣容でもっとも充実しているポジションの1つだろう。

 3センターは、ガリアルディーニ、ブロゾビッチ、ビダル、バレッラの4人をうまく使い分けており、中でも若手屈指のMFであるバレッラは貢献度が高い。フィジカルもテクニックも高水準な、隙のないモダンな万能型であり、これからも重用されるだろう。

 中盤でひとり蚊帳の外なのがエリクセン。序盤戦はエリクセンをトップ下に置く3-4-1-2を採用していたが、縦に速いコンテのサッカーでは上手くいかず、エリクセンに見切りをつけて代名詞である3-5-2に戻した。今後もこのシステムでは出番は厳しいだろう。

 

 最終ラインは新加入のベテラン・コラロフが序盤戦こそ使われたものの、故障や不調にコロナ感染もあって序列は下がり気味。不動のデフライ、ポジションをものにしたバストーニと並ぶのは、最近は再びシュクリニアルに戻ってきた。安定感抜群の守護神ハンダノビッチも含め、まずまず安定したパフォーマンスを見せている。

 

 今後のポイントは、やはりターンオーバーだろうか。幸いFWではサンチェス、MFではセンシやベシーノといったタレントがいるだけに、主力を休ませても取りこぼしが無ければ、十分覇権奪回のチャンスはある。むしろオーナーの資金力を考えれば、冬の市場で戦力を増強して優勝候補の最右翼に躍り出る可能性も十分だ。

 

 長すぎるので区切る。

各駅、途中下車

 電車に長い事揺られてると、スマホをいじるより頭で考えるほうが楽しくなる。スマホをポッケにしまい、目まぐるしく変わっていく景色を目で追いかける。この電車で向かう先は、友達の街。会おうと思えば会える、簡単に会おうとは思えない、そのぐらいの距離にいる友達。けっこう、時間かかる。

 

 時間がかかると言えば、俺の精神が年を取るのも随分時間がかかっている気がする。疲労度と回復力はジジイにも劣るんだろうが、心の感じ方がいつまでもガキのようだな、と最近やっと思えるようになった。自覚が出るぐらいには成長したということだ。今21歳だけど、精神的にはやっと16とか7になったかなーという感じ。中学の頃、だんだん周りが付き合うとか付き合わないとか言ってた頃は一切女の子をそんな目で見れていなくて、ウルトラマンシリーズの必殺光線のポージングを真似したりだとか、定期購読する「ワールドサッカーダイジェスト」をもとに自分なりに世界ベストイレブンを決めたりだとか、そんなことばかりしていた。今でもしている。ウルトラマンZ、みなさん観てますか? 観ましょうね。

 

 要するにそんなことばかりいまだに好きなので、成長がどうにもたらんなーと思ってしまうのだ。俺がウルトラマンの人形を買ってる時に、みんなはギャツビーとかを買ってると思うとふぁーとなる。みんなはいつ仮面ライダーの変身ポージングを卒業するんですか?僕は生涯学習だと思ってるんですけど。あの、体育のあと友達のカバンから出てくる制汗スプレー、あれはなんなんですか?買い物中、俺の目に入ってきたことがないんですけど。

 

 という中学時代を経て、高校生となった。厳密には違うけど、それは割愛。

 この時代も、あんま変わってない。女の子が素敵だというのはわかるんだが、それを自分にかかわりのある事だと受け取ってなかった。恋愛はドラマのこと、漫画のこと。そう思っていた。

 

 でも高校にもなると、周りは結構付き合いだしてるもんだ。ということにもしばらくは気付かなかったのだが、気付いた。

 そこで焦ることが無かった。変わらず友達と好きなものの話題をしていたし、友達も結局そうだと思っていた。実際はそんなことなくて、みんなは友達もいるし恋人もいた。マルチタスクをこなせる人間は尊敬する。

 

 結局そんな高校時代も俺は何も変わらず終えた。友達を増やし、語彙力を増やし、趣味を増やし、それでも恋愛をよくわからないままだった。

 

 現在。なんとなーくその理由が分かったような、分からないような状態を終わらせようと、答えを出そうとしている。

 つまり俺は、人生の各ステージを、人より長く遊び呆けているのだろうと。目的地に着くこともなく、気になる景色で電車を降り、いまだ駅に戻らない。そうこうしているうちに、特急に乗った友達や各駅停車でも先に行った友達の存在を、やっと認識した状態なのだと思う。

 ならいまさら焦ってもしょうがないんじゃないか。慌てて電車に乗っても、どうせまた途中下車するんだ。遊べるだけ遊ぼうじゃん。

 あんがい皆、こっちに戻ってきたりしてな。

メッシはどこへ行く?

 リオネル・メッシは、2004年にデビューしてから、常に青とえんじ色のユニフォームを纏ってきた。時折母国の白と水色に袖を通す事はあれど、他のクラブのユニフォームを着てプレーするメッシは見ることが無かった。

 

 そんなメッシが、バルセロナに退団の意思を伝えたというのだから、サッカー界は連日大騒ぎだ。様々な情報が飛び交い、多くのレジェンドや記者が思い思いにメッシの決断の理由を語り、これからを予測している。だからそれに乗っかって、真剣にメッシの行き先を考えようと思う。

 

 メッシの移籍先候補として多く挙がるのは4つ。マンチェスター・シティパリ・サンジェルマンインテル・ミラノ、そしてニューウェルス・オールドボーイズ。また有力とは言えないがユナイテッドやバイエルンといったクラブも可能性を探っている。

 ニューウェルスを除いたクラブに共通するのが、7100万ユーロと言われるメッシの年俸を負担できる資金力だ。シティとパリは言わずもがな、インテル、ユナイテッド、バイエルンの3クラブもカネを大きな問題としない資金力を持っている。

 

 このうち最有力と見られているのがシティ。恩師ジョゼップ・グアルディオラの存在、同胞の親友アグエロ、CL優勝を目指し改革を惜しまないクラブの姿勢……。すべてが今のバルセロナにはない魅力だ。また何年も前からメッシにラブコールを送り続けてもいる。そして何よりもやはりペップの存在は大きいだろう。

 そもそもメッシが退団を希望したのは初めてだが、移籍の噂自体は初めてではない。それが流れ始めたのは、ペップがバイエルンに就任した頃からだ。ライカールトに抜擢されたメッシがその後世界最高になったのは、ペップの手腕に拠るところも大きい。メッシはそのことを深く感謝しているし、勝負のためなら功労者さえも切るその非情さを評価もしている。暗黒期のバルサを救ったロナウジーニョを放出した判断が無ければ、メッシの成長は鈍化していたかもしれない。

 また、アグエロが自信のアカウントの「ナンバー10」を消したというのも理由の一つになるだろう。シティが出したオファーは、「金銭+ガブリエウ・ジェズス+エリック・ガルシア+アンヘリーニョ」というもの。スアレスの後釜、ウンティティの後釜、ジュニオル・フィルポが期待外れの左SBと、バルサの戦力補強にもなりうるこのオファーは悪くない。問題はキャッシュの金額で、バルサは最低ラインとして2億2200万ユーロ、つまり「史上最高」を求めている。契約解除金が7億ユーロであることを考えれば相当安いとも言えるが、コロナによる収入減とファイナンシャル・フェアプレーを考えるとどんなクラブにも容易に出せる金額ではない。

 メッシが現在主張するのが、「6月までに一方的に契約を解除し退団できる」という契約が、コロナによる特殊なシーズンのため現在も有効であるというもの。これが通ればフリーで移籍できることになるが、クラブは徹底して認めない構えなので、泥沼の法廷闘争となる可能性も十分ある。もしこれがメッシの勝利となれば、シティの可能性はますます高くなるだろう。

 

 パリSGカタール王族に買われたその時から、メッシの獲得を夢見てきた。イブラ、ネイマールという「3番手」で妥協してきたとはいえ、獲れるチャンスがあるなら当然全力で取りに行くだろう。だがここでも壁となるのはFFPだ。ネイマールとエムバペのダブル獲りで重大な負担を抱えているパリは、年俸面から言ってもメッシをスカッドに加えるのはキツすぎる。ネイマールがエースとしてバルサに舞い戻ったり、エムバペがマドリーに旅立ったりすれば状況は変わるが、パリにそれを認める考えは現在無い。CL優勝を来年こそはと、燃え滾っている。したがってメッシの獲得があったとしても今年ではない、というのが大方の見解だ。

 

 ある識者は、インテルへの移籍を「キャリアの後退」と断じた。確かにCLベスト4常連のバルサからユーべを阻めずセリエAで2位、ELも逃したインテルへの移籍は「都落ち」と言えるかもしれない。だが数年前の低迷期とは打って変わり、現在のインテルは資金力のあるオーナーの元でかつての姿を取り戻そうとしている。

 現代でペップ、クロップ、モウリーニョらと並ぶ名将に数えられるコンテの下、イタリア史上唯一の3冠を再びインテルにもたらすというプロジェクトは、十分魅力的と言えるだろう。ただそのコンテが上層部と衝突し、退任を示唆しているという問題もあるが。

 インテルはしばらく悩まされていたカネの問題を克服している。それどころかユベントスと並ぶセリエAトップの金持ちだ。だからこそシュクリニアルやハンダノビッチを残しながら、コンテの要望に応えてルカクエリクセン、モーゼスにヤングといった一線級を次々獲得できたのだ。その一方でイカルディを売り払い、ペリシッチバイエルンに貸し出すなど戦力の「売り」にも余念がない。「メッシVSクリスティアーノ・ロナウド」が、セリエAで再び見られるようになることを、インテリスタは期待している。

 

 ニューウェルス・オールドボーイズとは、アルゼンチンのクラブだ。規模で言えばボカを始めとしたビッグクラブに及ばないこのクラブがなぜ候補に上がるのかというと、メッシがバルサに入団する前に所属していた「心のクラブ」だからである。元々メッシはキャリアの晩年をこの故郷で過ごして引退したいという考えを持っており、この退団でそれが早まるという可能性が出てきた、ということだ。いくら上層部に不信感を持っていても、メッシのバルサ愛は相当なもの。敵として戦うことがまずない母国のクラブに帰る可能性もあるということだ。

 ただ、これはほぼありえないというのが大方の結論。移籍金が発生しないとしても、7100万ユーロの年俸を払えるわけはないし、欧州に比べると明らかにレベルが落ちる。さらにメッシはスペインに家があり、子供も大きくないので、ヨーロッパから出ていくのは早すぎるし望ましくない、というのがその理由だ。あと5年もすれば状況は変わっているだろうが、これも今年は少なくともありえないだろう。

 

 ユナイテッドやバイエルンは、メッシとの直接の繋がりが少ない。資金力やクラブの格で言えば上の候補に勝るとも劣らないが、バイエルンの陣容にはスキが無く、ユナイテッドはポグバという主役をすでに持っている。チャンスがあればわからないが、コロナ禍で寂しい懐を圧迫させてまで獲りに行くかは怪しい。もちろんこれも、メッシがフリーとなれば話は変わってくるのだが。

 

 まとめると、シティ40%、パリ10%、インテル15%、ニューウェルス5%、その他15%、そして残留も15%といったところか。やはり恩師がいて同胞がいて資金力もあるシティは他の候補に比べポジティブな要素が多い。とはいえ多くの人がロナウドのユーベ移籍を予想してなかったように、「移籍市場は何が起こるかわからない」というのは周知の事実。今はまだ見守る時だろう。

 移籍すれば、また1つサッカー界の歴史となる。サッカー界最高の男がどうなるか、楽しみである。

レアル・マドリーの理想形を模索する FW編

クリスティアーノ・ロナウドを活かす」という最大の任務から解放されたベンゼマは、本来の輝きを取り戻した。そのパフォーマンスは、万能型CFではレバンドフスキに次ぐレベルの活躍だ。攻撃陣を引っ張るリーダーとしての自覚も芽生え、少なくともあと数年はマドリー攻撃陣の中心として活躍してくれるだろう。

 

 問題はそのバックアッパー。過去にはモラタ、ヘセ、さらにはハビエル・エルナンデスなどもいたが、継続的にサブの役割を果たしたのは過去5年で皆無。現在のマリアーノ・ディアス、ルカ・ヨビッチも期待値を下回るパフォーマンスとなっている。ベンゼマもすでに32歳。両者の奮起に期待するのもいいが、手遅れになる前に後継者は探しておかなければならない。候補の一人がヴィクター・オシメーン。リールのエースとしてゴールを量産している、スピード&パワーのストライカーで、器用さもある有望株。とはいえこのポジションのトップターゲットは、アーリング・ハーランドで間違いない。

 若干19歳の神童はドルトムントに移ってからも圧倒的な活躍を見せており、多くのメガクラブが争奪戦を展開している。戦術眼、恵まれた体躯、しなやかなスキル、そして破壊力抜群の左足と、トップレベルに必要な能力をすべて備えた存在であり、バックアッパーの枠にとどまらずマドリーの未来を担える存在だ。

 

 両ウイングは、アザール&ヴィニシウスもしくはロドリゴが基本形。とはいえアザールチェルシー時代のキレがなく、ヴィニシウスもロドリゴも若手だけに継続性に難あり。バスケスやアセンシオも控えるが、マドリーは補強の準備を進めている。

 

 数年来のトップターゲットが、怪物エムバペ。ジダンとエムバペ本人は相思相愛であり、獲得のカギはネイマールの動向とカタール王族の説得だ。ネイマールとエムバペのダブル流出はまずありえないため、パリがどちらをあきらめるかにかかっている。

 さらにCL出場禁止処分が下されたマンCのスターリング、世界王者リバプールのマネも有力なターゲット。アザールもいるため全員獲得はしないだろうが、とりわけ若く市場流出の可能性があるスターリングは可能性が高い。若手逸材に舵を切ったマドリーが最もカネをかけるポイントがここであり、どんな可能性も排除はできない。C・ロナウド復帰の可能性も、だ。

 

 久保が入る隙は、現状どこにもない。今は地に足をつけ、一歩一歩成長していく時だ。

 

 マドリーの理想形をまとめる。()内はバックアッパー。

 

GK ティボー・クルトワ(アルフォンス・アレオラ)

 

CB セルヒオ・ラモス(ミラン・シュクリニアル)

CB ラファエル・ヴァラン(ナチョ、カリドゥ・クリバリ)

右SB ダニエル・カルバハル(アシュラフ・ハキミ、ナチョ)

左SB ダビド・アラバ(フェルラン・メンディ)

 

アンカー カゼミーロ(フェデリコ・バルベルデ)

インサイドハーフ トニ・クロース(マルコ・アセンシオ、エドゥアルド・カマビンガ)

インサイドハーフ マルティン・ウーデゴー(ブラヒム・ディアス、レイニエール)

 

右FW キリアン・エムバペ(ラヒーム・スターリングロドリゴ)

左FW エデン・アザール(サディオ・マネ、ヴィニシウス・ジュニオール)

CF カリム・ベンゼマ(アーリング・ハーランド)

 

 

 これが実現すれば、銀河系軍団の再来と言っていい。コロナ禍の影響もありかなり移籍市場は難しいが、マドリーには変わらず剛腕ぶりを発揮してほしい。

レアル・マドリーの理想形を模索する MF編

 ジダンの戦術におけるキーマンは、アンカーのカゼミーロだ。極めてオーソドックスなカウンターを志向し、基本的に選手の能力に委ねる攻撃を展開するジダン戦術では中盤の底で攻撃を止めてカウンターにつなげるカゼミーロは代えの利かない絶対的存在。もともとシャビ・アロンソ、クロースも獲得当初はこのポジションだったが、ジダンは中盤の創造性をある程度犠牲にしてカゼミーロを据えた。そこからCL3連覇を達成したように、ジダンの最大の英断と言ってもいい。

 現在、カゼミーロと同じ働きができる存在はマドリーにいない。可能性があるのは、万能型のバルベルデ。現在はモドリッチとスタメンを争うウルグアイ代表の21歳だ。ウルグアイ人らしく闘争心に溢れ、それでいて状況判断が適切。前線への飛び出しからカバーリングまですべてを高いレベルでこなすラ・リーガを代表する逸材だ。このままモドリッチの後継者としてポジションを奪う道も考えられるが、カゼミーロのバックアッパーとしても経験を積むだけに、このポジションで大成してほしい。

 

 一列前のインサイドハーフは、基本的にモドリッチとクロース。このクロースは現マドリー最高のタレントの一人で、イスコ、アセンシオと比べても差は歴然としている。モドリッチはやや落ちてきたがバルベルデの成長もありそこまで深刻な問題ではなく、ウイングと兼任で前述のイスコとアセンシオ、さらにスペインの未来を担うブラヒム・ディアスも控える。

 さらには先日、レンヌの超逸材・カマビンガを獲得するとの噂も出ている。17歳ながらプロで40試合以上に出場し、市場価格は5000万ユーロとも言われるフランスの至宝だ。インテンシティーが高く、ポジショニングセンスとビルドアップ能力にも優れる。アンカーとしては球際の激しさなど、守備能力に課題を残すが、今後の成長ではレジスタの能力を持つアンカーにもなりうる。実際に獲得できれば、若返りを目指すマドリーにとって理想の補強となるだろう。

 

 そして中盤でいま最も復帰が望まれるのが、レアル・ソシエダで超人的な活躍を見せていたマルティン・ウーデゴーだ。一時期は「消えた逸材」と思われていたが、フィテッセでの2年間でフィジカル的に大きく成長し、ソシエダで天賦の才能をいかんなく発揮している。特筆すべきはそのテクニック。長短、強弱、シチュエーションによってパスを自在に使い分けて決定機を演出する。守備の意識も向上し、豊富なスタミナで90分走り続ける。紛れもなく特別な才能の持ち主である。

 

 実際にカマビンガ、ウーデゴーがそろって加わるとすると、イスコはほぼ確実に放出になると思われる。興味の段階ではあるがレバークーゼンのカイ・ハベルツの獲得の可能性もマドリーは探っており、ここまで行くとタレントが完全に飽和状態。絶対的な主力になれていないイスコとアセンシオのうち、サポーター人気も高くまだまだ若いアセンシオは残る。逆にイスコはもともと市場人気もあり、本人も環境の変化を考える時期だろう。ウイングもこなす利便性は惜しいが、ロドリゴやヴィニシウスなど逸材揃いだけにダメージは最小限で済む。

 バルベルデ、クロース、カゼミーロ、そして予想ながらカマビンガ、ウーデゴーまで加われば、モドリッチを手放すという選択肢も十分視野に入る。元々今シーズンの始まる前はインテルと個人合意していたこともあり、クラブも売却を絶対許さないというスタンスではない。若返りを図るクラブ事情もあり、この夏、もしくはその次の夏には、MFの大刷新が行われるかもしれない。

 

最後はFW。

レアル・マドリーの理想形を模索する DF・GK編

 前人未到チャンピオンズリーグ3連覇(チャンピオンズカップ時代を除く)を成し遂げ、メッシ&ロナウドバロンドールに終止符を打つ選手(モドリッチ)を排出し、いまだに世界のトップ3に入るクラブとして輝きを放つレアル・マドリー。しかしこの10年間でラ・リーガでの優勝はわずか2度。ジダンの電撃退任後は迷走していた印象が強く、ジダンが復帰した現在もラ・リーガではCLの輝きを見せられていない。

 

 そのバロンドーラーであるモドリッチはロシアW杯をピークにやや元気がなく、ベイルは「ロナウド後」でも怪我を繰り返して失望を買い、プレミア最高のタレントであったアザールチェルシーにいた頃からは程遠いパフォーマンスに終始している。変わらずの働きを見せるS・ラモスやカルバハル、確かな成長を見せるヴァランやロドリゴロナウド後でも安心のパフォーマンスを見せるベンゼマクルトワらはいるものの、いまだにバルサの後塵を介している。

 

 どちらかというと俺はバルセロニスタなのだが、レアルには久保建英もいることだし強くあってもらいたい。ということで保有権を持つ選手や獲得を狙う選手などを希望的観測でチームに加え、理想形を探っていければと思う。早速始める。

 

 キーパーはクルトワでまったく問題ない。というよりナバスを放出した時点で他に選択肢が無い。アレオラもパリでの経験を考えればバックアッパーとしては十分。理想はクルトワと同等の存在か後継者たりえる存在。その意味でナバスは理想だったが、派閥が出来てしまうため放出したフロントの判断は間違いとも言い切れないためアレオラで良しとする。まったく現実的ではない後継者候補はミランのドンナルンマ。ライオラがバックアッパーの立場など受け入れるはずがないだろうし、もし移籍するならそれこそクルトワとのトレードか、1億ユーロ級を要求してくるだろう。ということでひとまず除外。

 

 最終ラインは悩ましい。安心できる存在のセルヒオ・ラモスとマルセロは、衰えを考えなければいけない段階だ。だからこそデリフト(ユベントス)は絶対に欲しかったところだが、囲われた以上ユーべは手放さないだろう。ヴァランは順調にいけばあと2、3年で世界トップに行ける存在で、カルバハルは攻守のバランス型のサイドバックとしてはすでに世界最高峰。最終ライン全域をこなせるナチョは世界最強のバックアッパーと言っても過言ではない存在。考えるべきなのはフェルラン・メンディに左サイドを任せるべきかということと、マルセロの処遇だ。

 現状、夏の移籍組で一番の活躍を見せるフェルラン・メンディ。コンディションを落とすマルセロに代わり、左サイドバックのレギュラーとして奮闘する若武者にはサポーターも期待を寄せている。ひとまずメンディに期待していいだろう。問題はマルセロ。

 好調時の輝きは変わらず。選手寿命が延びている昨今では老け込むにはまだ早く、奮起に期待するのも十分あり。ただ個人的にはメンディと同世代の逸材を獲得し競わせるのがいいと感じる。マルセロはベテランだがチームに落ち着きを与えるタイプではなく、いわゆる「ラテン組」の中でもお調子者のリーダーだ。好調時はそれがチームに好影響を及ぼすものの、現在のように調子を落としていると途端にメディアの標的となる。最終ラインを引き締める存在としてラモスが君臨する以上、マルセロの放出は悪くない提案にも思える。それに選手にとっても、まだやれる中で若手のバックアッパーは不本意だろう。パリでもブラジルでももう一花咲かせまくっているダニエウ・アウベスのように、クラブを移すのも正解だと思う。

 さてメンディと競える存在としては、有力な候補はいない。その代わりそのメンディを再びサブに追いやるレベルの存在である、バイエルンのアラバを狙っている。バイエルンが夏に唯一売りに出す可能性のある主力が、アラバだ。カナダが生んだ逸材、アルフォンソ・デイビスのコンバートに成功し、リュカやパバールもサイドバックを担えるためだ。あるいは次代の第一人者候補、アトレティコのロディの「禁断の移籍」も、クラブの歴史を考えればない話ではない。

 

 右はカルバハルで盤石。さらにドルトムントで覚醒したハキミの復帰を検討しており、ナチョも含めて隙が無い。獲得はそのハキミで十分だろう。

 難しいのはセンターバック。エデル・ミリトンは適応期間と考えて猶予を与えるべきだし、ナチョが控え、ラモスはトップレベルを維持し、ヴァランはそこに辿り着きつつある現在はそこまで補強の緊急性は無いように見える。

 だが忘れてはならないのはセルヒオ・ラモスがすでにオーバー30だという事。後継者問題は付きまとい、デリフト以外の選択肢を考えなければならない。

 

 数年前から狙うのがクリバリ(ナポリ)。困難を独力で解決できるスーパータレントであり、ファン・ダイク、マグワイアと更新してきた移籍金記録を塗り替えるのではと言われている。

 逆にここ2年ほどで急浮上したターゲットが、インテルのシュクリニアルだ。クリバリより3歳若く、フィジカルもあるがどちらかと言えば頭脳型。冷静さを失わず、インテルで結果を残す通りパーソナリティーもある。向こう5年以上の最終ラインを託せる存在と言っていい。

 

 さらに若い候補では、RBライプツィヒのダヨ・ウパメカノが挙げられる。現在21歳。186cm・90kgという恵まれた体躯を活かしたパワフルなディフェンス、質の高いカバーリング、テクニックもあり冷静さを失わないパーソナリティーも併せ持つ。さらに貴重な左利きのCBと、U-21世代ではデリフトと並び頭二つ以上抜けた存在だ。

 それだけに争奪戦が激しく、アーセナルバイエルントッテナムミラン、そしてバルサも獲得を狙っている。交渉上手のユーべが参加しないのは朗報だが、獲得できるかはまったくわからない。とはいえレアルが獲ると決めたら獲ってきた歴史がある。期待したい。

 

 想像以上に長くなってしまったのでここでいったん区切る。