レアル・マドリーの理想形を模索する FW編
「クリスティアーノ・ロナウドを活かす」という最大の任務から解放されたベンゼマは、本来の輝きを取り戻した。そのパフォーマンスは、万能型CFではレバンドフスキに次ぐレベルの活躍だ。攻撃陣を引っ張るリーダーとしての自覚も芽生え、少なくともあと数年はマドリー攻撃陣の中心として活躍してくれるだろう。
問題はそのバックアッパー。過去にはモラタ、ヘセ、さらにはハビエル・エルナンデスなどもいたが、継続的にサブの役割を果たしたのは過去5年で皆無。現在のマリアーノ・ディアス、ルカ・ヨビッチも期待値を下回るパフォーマンスとなっている。ベンゼマもすでに32歳。両者の奮起に期待するのもいいが、手遅れになる前に後継者は探しておかなければならない。候補の一人がヴィクター・オシメーン。リールのエースとしてゴールを量産している、スピード&パワーのストライカーで、器用さもある有望株。とはいえこのポジションのトップターゲットは、アーリング・ハーランドで間違いない。
若干19歳の神童はドルトムントに移ってからも圧倒的な活躍を見せており、多くのメガクラブが争奪戦を展開している。戦術眼、恵まれた体躯、しなやかなスキル、そして破壊力抜群の左足と、トップレベルに必要な能力をすべて備えた存在であり、バックアッパーの枠にとどまらずマドリーの未来を担える存在だ。
両ウイングは、アザール&ヴィニシウスもしくはロドリゴが基本形。とはいえアザールにチェルシー時代のキレがなく、ヴィニシウスもロドリゴも若手だけに継続性に難あり。バスケスやアセンシオも控えるが、マドリーは補強の準備を進めている。
数年来のトップターゲットが、怪物エムバペ。ジダンとエムバペ本人は相思相愛であり、獲得のカギはネイマールの動向とカタール王族の説得だ。ネイマールとエムバペのダブル流出はまずありえないため、パリがどちらをあきらめるかにかかっている。
さらにCL出場禁止処分が下されたマンCのスターリング、世界王者リバプールのマネも有力なターゲット。アザールもいるため全員獲得はしないだろうが、とりわけ若く市場流出の可能性があるスターリングは可能性が高い。若手逸材に舵を切ったマドリーが最もカネをかけるポイントがここであり、どんな可能性も排除はできない。C・ロナウド復帰の可能性も、だ。
久保が入る隙は、現状どこにもない。今は地に足をつけ、一歩一歩成長していく時だ。
マドリーの理想形をまとめる。()内はバックアッパー。
GK ティボー・クルトワ(アルフォンス・アレオラ)
CB ラファエル・ヴァラン(ナチョ、カリドゥ・クリバリ)
右SB ダニエル・カルバハル(アシュラフ・ハキミ、ナチョ)
左SB ダビド・アラバ(フェルラン・メンディ)
アンカー カゼミーロ(フェデリコ・バルベルデ)
インサイドハーフ トニ・クロース(マルコ・アセンシオ、エドゥアルド・カマビンガ)
インサイドハーフ マルティン・ウーデゴー(ブラヒム・ディアス、レイニエール)
右FW キリアン・エムバペ(ラヒーム・スターリング、ロドリゴ)
左FW エデン・アザール(サディオ・マネ、ヴィニシウス・ジュニオール)
CF カリム・ベンゼマ(アーリング・ハーランド)
これが実現すれば、銀河系軍団の再来と言っていい。コロナ禍の影響もありかなり移籍市場は難しいが、マドリーには変わらず剛腕ぶりを発揮してほしい。