路地裏

あらゆるどうでもいいことを書きます。

卒業した訳でもないのに

 からっぽの本棚と引き換えに手に入れた6万円は国民年金とやらですでに半分以下となり、部屋にあるのはぎゅうぎゅうの衣装ケースが3段、どうしても手放せなかった85冊の漫画が入った段ボール1箱、ノートパソコン、PS4といった感じだ。きっといざ生活し始めれば足りないものだらけだろうけど、現状を鑑みるに俺はあまりにもコンパクトな生活だったのだと思う。そしてからっぽを見るたびに少しずつこみあげていた寂しさは、今日もっと強くなった。

 

 かけがえのない友達で、可愛い年下どもが、卒業した。コロナさんの影響で卒業式も謝恩会もなかったけど、みんなで飲み会をした。そこに参加させてもらった。

 俺はこいつらとほんの2年間一緒のクラスにいて、こいつらは5年間を過ごしている。10代から20代へとなっていく5年間をひとつの空間で過ごしたというのはとんでもないことだ。

 お酒を頼んで乾杯をして、いつものように下らないバカ話をして、カクテルをピッチャーで飲んで、お冷で小休止して、ふたたび飲んで。友達の恋バナを聞いて悶えて、潰れた友達をメニュー表であおいで、最後にみんなで写真を撮って。気付いたら終電がなくなっていたから、みんなでカラオケに行って、やっぱり一番最初はだれも歌いたがらない。

 そこでクラス1の天才くんに無理やり歌わせて、ほどけたところでカラオケが始まる。俺はあまりにも人と知ってる曲が違うので、けっこう自重するタイプ。一人だとラップとかプリキュアとかウルトラマンとか歌う。人の選ぶカラオケの曲がけっこうすき。人間が出るような気がする。

 カラオケで歌いまくってると、いつの間にやら喉がぶっ壊れ、朝になっていた。すでに何人かがいなくなっていたが、ここでみんな、解散だ。

 

 幹事をしてくれたヤツの口上ののち、謎の一本締め。また会おうと言いながら駅に向かい、電車に乗り、最寄りの駅に着き、帰る。

 別に俺が卒業したわけでもないのに、なんでか涙腺が緩んだ。また会おう、というのは、また明日、よりずっとずっとなんだか悲しい響きだな。と思ってしまった。家に着き、眠る。起きるとそれは昨日のことになっている。

 卒業した訳でもないのに、まるで卒業したような気分だ。カラオケでも歌った「オトノナルホウヘ→」を聴き、また少し涙が出た。また明日、にはもう戻れないけど、またいつか。

 

 卒業おめでとう、お前ら。

 

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